クロールやバタフライを泳ぐときは、体の下を真っすぐに移動するのではなく、
立体的な「S」字の軌道に沿って手が動いているのです。
プルの前半は、手が体の真下の深い位置に向かって移動し、プルの後半は、手が体の横の浅い位置に向かって移動します。
背泳ぎも同様でS字の軌道に沿って移動します。
入水後、手は下へ向かって動き、その後、上に向かい最後は体の横に移動しフィニッシュを迎えます。
平泳ぎだと、途中まではクロール・バタフライと同じ軌道に沿って手は動きキャッチが終わって早い段階でリカバリー動作に移行します。
トップスイマーがなぜこのような軌道でプル動作を行うかというと、手の位置を変えながら水を押せば、広い範囲の水を押すことができるからだ。これは、手のひら1つ分の面積を長く押し続けるよりも効率が良い。
手のひら1つ分の面積を長く押し続け水へ力を加えると、その水は後ろへ流れ始め、流れている水を押すためには腕のスピードを上げる必要がある。腕を徐々に速く動かさないとスイマーは減速してしまうのです。したがって、入水からフィニッシュまでプル動作を加速し続ける必要がある。これでは体力消耗が増え当然疲労も早くなります。
S字型の軌道にすると上下左右に移動して抵抗が増え推進力が落ちるという考えを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、抵抗が増えたとしても手の位置を変えながら泳いだ方が結局は大きな推進力を得られるのです。
自身のプル動作を思い出し、ワンストロークで進む距離が短い方は是非このプル動作に変えて練習をしてほしい。